【福地温泉】昔ばなしの里(岐阜県高山市)
福地温泉・昔ばなしの里の日帰り温泉入湯記
福地温泉は、奥飛騨温泉郷の中の温泉街のひとつで、温泉街付近を通ることもしばしばあったのだけど、旅行の最初か最後に通過する場所ということもあり、これまで一度も温泉を利用したことがなかった。けど、「黒川温泉の次は福地温泉」と業界内でささやかれるようになってからは、かなり気にしていた温泉だ。
そんな福地温泉にある「むかし話の里」という名の日帰り温泉専門の施設を利用した。
ここには、温泉のほか朝市など複数の施設がある。いずれも古くからある民家を移築して造られたものだ。
肝心の温泉施設だが、あまり看板が大きくないため、どこにあるのかよくわからず、雨の中、あちこち歩き回ってようやく発見することができた。
「昔ばなしの里」はまさに古い農家
ガラガラと昔の家のような音を立てる玄関扉を開くと、中には土間があり、その奥の畳間で、何人もの人がくつろいでいる。まさしく、農家そのものの趣だ。しかも、土間横には、殺虫剤や農具などが置きっぱなしにされていて、こいつらはさすがに意図的ではないのだろうが、本当に人の家の農家に入ってきたような気になる。
しかも、入浴施設なのに受付らしい受付はなく、お金は台所で料理中のおばちゃんに払う仕組み。あまりに忙しそうなので、のれんを開け、一歩踏み入ってお金を手渡した。
風呂への通路も農家そのもの。古い機織機などが置いてある部屋も見える。風呂の脱衣所も素朴で、裸電球がポツリとついているのみ。
風呂へのドアは、安っぽいアルミ製。この当たりも変に気取っていない、普通の農家のような感じだ。
福地温泉・昔ばなしの里のお風呂
昔ばなしの里の内湯にある湯船は、広さ8畳ほどの木製。ドクドクと新鮮なお湯が注がれている。配水管の周りには、真っ白な好物の結晶がこびりついている。触ると、ざらざらとしている。
お湯は透明に近いが、若干青っぽく濁っている。
浴槽の横には、わずかばかりの面積の洗い場らしきはあるが、しゃれたカランなどはない。その洗い場を経て露天風呂へ。
雨の中、露天風呂に入る
外は雨が降っているので、あまり楽しめるような雰囲気ではない。露天風呂には陣笠が備え付けられている施設も多かったりするが、ここ、むかし話の里は、誰かの忘れ物のような傘が何本か置いてある。先客は、傘をさしながらお湯に浸かっていた。傘をさしながら風呂に入るのも妙なので、雨をガマンしながら使っていたが、さすがに不快なので、すぐに内湯に戻った。
これだけ素朴なら、業界通には受けるというのもよくわかる。でも、たぶん、温泉の人は取り繕って、農村のような雰囲気を出しているのではなく、ここは本当の農村なのだろうという気がした。
昔ばなしの里の地図
●住所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷